あめのもり内科

06-6872-0221

特徴

ブログ

blog

2021.07.21

心不全にもいろいろと分類があり、心臓のポンプとしての収縮機能が落ちるわかりやすい心不全もあれば、収縮機能はよいものの拡張機能が落ちるタイプの心不全つまり心臓が固いタイプ、そのほかいろいろなタイプがあります。後者のタイプの心不全は単一の病態ではなく、様々な心血管系・多臓器の障害を伴う複雑な病態です。これに効く治療法はなかなかないのが実態です。実は高齢者の心不全はこのタイプが多いのです。この心不全に新しい心不全治療薬ARNIが効くらしいことがわかってきました。もちろん前者のタイプの心不全には効果が認められます。大事なことは、心不全が患者本人にわかるようになる前に、つまり不顕性の時期に薬剤を使えばより効果があります。薬の性質上、投薬によって血圧が下がることがありますが、収縮期血圧100mmHgなら使うことを考慮します。うまく症例を選べば80mmHgでも使うことができます。
この薬を新収縮力が落ちるタイプの心不全に使う前に、心不全治療薬としての利尿剤、とくにループ系利尿剤を今までよいとされている状態までではなく、ややwetな時から使うほうが良いようです。なぜなら静脈系にプールされるべき血液量をあまりに絞ると一時的に状態は良くなるように見えますが、この状態でRAS系阻害薬を使えば動脈系静脈系ともに循環量が減少し血圧が下がる、つまりRAS系阻害薬に忍容性がないと判断してしまいます。すなわちARNIも導入しにくくなります。この場合も不顕性の心不全時期から使うとよいということです。
心不全は、従来の治療で安定していても予後がよいとは限りません。早いうちにARNIを導入するほうが良いのです。そんな勉強を詳しくしました。

close

新型コロナウイルス対策

06-6872-0221