あめのもり内科

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2021.08.29

大人の喘息は、子供の喘息と違って気道の炎症性変化が表れていることが多く、発作がないときも完全に正常とはいかないものです。考えてみれば、長く生きていればそれなりに気道には経年変化による影響がでるであろうと推察されます。また、気管支喘息が治療によってうまくコントロールされているように見えても、実は完全なコントロールには至っていないことが多いようです。何をもってコントロールができているかの基準にもよりますが、日常生活が送れるから何となくコントロールできている、ではなく、咳もなく運動も行うことができ痰もなく全く普通の生活ができることをもってコントロール良好と呼ぶべきです。
従来から気管支喘息の基本的治療薬として吸入ステロイドが使われています。喘息発作で起こる気道収縮には長期間作動型のベータ刺激剤(LAMA)吸入が使われます。この2つの製剤が一体化した吸入薬はすでに気管支喘息の標準治療となっています。喫煙などに原因する気管支の変化には長期間作動型抗コリン薬が使われます。この薬は気管支抹消の細い部分に作用して気管支径が狭くなるのを防ぎ、この部位の細胞からの過剰分泌液を抑えます。すなわち、LABAとは違った機序で違った場所の気管支の狭まりをよくして痰を減らします。煙草による気管支障害(COPD)には必須の薬剤ですが、歴史の長い気管支喘息、すなわち大人の喘息は煙草でなくとも抹消気管支に炎症がおよび、COPDのような状態を呈していることも多く、したがってこの場合もLAMAの適応があると思われます。
気管支の状態のよって、ステロイド(ICS)、LABA,LAMAの使い分けをするわけですが、実際の臨床では一口に気管支喘息といっても細かい分類分けをできないことが多く、患者の状態をよくするという視点に立てば、病理学的な分類に従って薬の使い分けをする意味も考えなければなりません。副作用がなければ、これら3つの薬剤をいっぺんに使っても悪くはないという発想です。実際の臨床の場ではそのほうが良いことも多いと思われます。
ようやく、これら3つをバランスよく含んだ吸入薬が出現しました。患者さん側からの評判もなかなか良いものがあります。誰が治療者になっても、同じように良い結果を出せる、これが現代の外来医療で求められる答えです。

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