あめのもり内科

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2021.09.11

糖尿病ではなぜか腎不全が発生しやすくなることが知られています。これに対して尿中に糖を排泄させる薬SGLT2阻害薬が効くことがわかっています。今では、糖尿病だけでなく慢性腎臓病の治療薬としてもSGLT2阻害薬は注目されています。副作用もなく、良いことばかりなので高齢者にも使うことのできる薬です。さて、ではなぜ腎臓病に効くのか?その作用機序についての考察を勉強しました。
糖尿病患者では近位尿細管にあるSGLT2が活性化しています。このSGLT2の活性化は近位尿細管上皮細胞の酸素消費量を亢進させ、糖尿病では尿細管間質の酸素分圧が低下しているかもしれないということです。また、近位尿細管上皮細胞において、大量のグルコースがSGLT2を介して細胞内に流れ込むと、エネルギー代謝のリプログラミングをきたし、活性酸素や炎症・線維化促進物質の産生が亢進することも実験的には証明されているようです。糖尿病患者では、SGLT2の活性化に伴ってNa+再吸収が増加することに加えて、上記尿細管間質の微小環境の障害が交感神経系やレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系などの神経体液性因子の活性化を引き起こして心臓に血行動態的な負荷を与えるそうです。なるほど、と思います。心臓の機能が悪化すると腎臓への血液供給量が減り、これがまた腎尿細間質の低酸素状態を進行させ、腎機能悪化に繋がります。また、腎実質が低酸素状態になると、交感神経系の活性化を引き起こし、さらに心不全が悪化するという悪循環ができあがります。

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