あめのもり内科

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2021.11.25

外来で病気を管理していると、高齢者に腎機能が低下している人が多いことに気づきます。データをグラフにしてみると、10年弱の期間で徐々に悪くなってきていることが多いのです。寿命前に腎機能が尽きれば透析となるので、腎機能低下のスピードと老化による寿命との競争になります。老化による腎機能低下は完全にコントロールすることはできず、つい最近までは腎機能低下の程度を緩やかにする方法はありませんでした。腎臓は血液をろ過する装置なので血流が多く、すなわち血流を悪くするようなことを避けるということだけだったのです。具体的には生活習慣病にならないようにし、禁煙し動脈硬化を遅らせることです。今では、SGLT2阻害剤といって尿糖を排泄させる糖尿病薬に腎機能低下を遅らせる効果があることがわかり、腎不全に対しても保険適応となりました。
さて、腎臓は一つにつきろ過装置が100万個前後あるといわれています。加齢に従ってこのろ過装置がだんだんと死んでゆき、70歳になると20台に比べてろ過装置は70%ぐらいの数になります。生まれたときにろ過装置の多い人ほど有利だということがわかってきました。低出生時体重であれほどろ過装置が少なく、母体が栄養不足であればそれだけ新生児のろ過装置は少なくなります。多い人と少ない人出のろ過装置の数には二倍以上の差が出ます。もちろんろ過装置の数だけではなく、その機能も問題となります。ろ過装置はすべてが同じように働いているわけではなく、休んでいるものもあり、体にかかる負荷や食事によって腎機能は一過性に上がったり下がったりします。その仕組みや腎予備力のはかり方、予備力によってどのくらい腎機能が維持できるかなどについて勉強をしました。腎臓に炎症が起これば腎機能が悪くなることもわかっており、老化でどのような形で腎機能低下が起こり、ミクロ的にはどのような細胞が腎機能低下に寄与するかについても勉強しました。

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