骨粗しょう症とは骨密度が低くなり、結果として骨折が起こる病態だと理解されています。理論上はその通りなのですが、実は骨折のしやすさと骨密度は完全一致するわけではなく、骨密度が高くても骨折しやすい病態もあります。骨密度だけではなく骨質も骨折のしやすさに関係するというわけです。今では骨粗しょう症の薬もいろいろ種類があり、骨吸収を抑制する薬や骨形成を促進薬などがあります。
今まで主役だった骨吸収抑制剤は、使いすぎると骨が硬くなりすぎて血中の余分なカルシウムを吸収する余裕がなくなり、血中カルシウム値が上がりすぎることで腎臓機能を悪くしたりします。骨は血中カルシウムやリンの吸収と放出の役目を担っており、これにより血中のカルシウムとリンの濃度が一定に保たれています。全部骨化して上部に見えればいいというわけではないのです。さらに年を取ると誰でも腎機能は落ちるので血中カルシウムの排泄が悪くなります。やたらに骨吸収阻害剤を使っていいわけではないのです。高齢者が牛乳を取りすぎるとカルシウムとリンが上がりすぎて寿命が縮まります。年齢を決めている因子に腎機能がかかわる割合はかなり高く、特にリンが腎より排泄できないと寿命が短くなることが分かっています。今回は副甲状腺ホルモンが血中カルシウムに及ぼす影響も勉強してきました。さらにSERM製剤が、女性閉経後の骨粗しょう症になぜ有利に働くかについても、上記病態などから説明できる理由を勉強してきました。
骨粗しょう症の分野はまだ治療ができるようになってから日が浅く、どのような骨粗しょう症の病態にどのような治療法があっているのか詳細には判明していない部分も多いのです。さらに、骨密度と骨折の関係、糖尿病や腎機能障害など基礎疾患のかかわり、骨代謝マーカーを測定する意義や理由その将来性など解明されなければいけない部分がまだまだあります。
blog骨粗鬆症の勉強
2019.02.18