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  • なぜ尿糖を出させる薬が、糖尿病性腎症や糖・・・

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2019.05.11

尿を作る小器官の単位をネフロンといい、糸球体・近位尿細管・遠位尿細管・集合管、緻密斑などからなります。その数は腎臓一つに150万個存在します。
ループ系利尿薬は、ヘンレのループにおいてNa+とClの再吸収を阻害するので、尿細管内のCl濃度が上がると同時に、マクラデンサ(緻密斑)のCl感受性も下げます。尿細管内のCl濃度が高いということは、原尿が多いということです。結果、マクラデンサは尿細管に水分がたくさんある、すなわち原尿が多いと判断し、様々な器官に働きかけて尿量を増やします。
SGLT2阻害薬は、Na+とClに関係する利尿作用ではなく、水利尿で尿量を増やします。かつて浸透圧利尿と言われていた利尿作用です。この場合は、血管内の水を引くわけではなく広く全身の組織の間質液を減らします。腎臓自身を含めた臓器のむくみをとるわけです。
さて、ここで輸液について考えてみます。5%ブドウ糖液を1ℓ輸液した場合に血管内にとどまる水分は計算上は88mlとなります。逆に水利尿で1ℓ尿量を増加させても、血管内からは88mlしか水は引けないことになります。また、この場合の利尿作用は血管内脱水を惹起しないためにRAS系の興奮させません。ですから、糖尿病性心不全に効く理由は、トルバプタンによる心不全治療に近いことを行っていることになるので当たり前なのです。さらに腎後にある臓器のむくみもとるために、糸球体の輸出細動脈の血流も増やすという意味でも腎臓にもよいのです。もちろん腎臓自体のむくみもよくなるということも大きいと思われます。
計算上は血管内脱水を起こすはずはなく、水利尿なので電解質も乱れるはずはありません。多発性嚢胞腎にサムスカ(トルバプタン)を使う場合には、心不全治療の8倍もの量を使います。それでも電解質は乱れません。もともとSGLT2阻害薬の水利尿作用はサムスカの比べられないほど弱いので、これで電解質異常や脱水の心配はありません。
以上、腎臓の構造や生理作用、解剖学的病態などから勉強した内容を、ごく大雑把に書いてみました。とにかくSGLT2阻害薬は、腎機能や副作用を心配することなく、糖尿病にはすぐに使うべき薬であるということです。

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