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2023.01.26

SDGsへの取り組み

 

sustainable development goals 略してSDGsという言葉が人口に膾炙してきている。2015年に国連持続可能な開発サミットで採択されたアジェンダであり、日本語では「持続可能な開発目標」ということになる。字面は知っていても中身を知っている人は少ないのではないだろうか。

実は、SDGsより15年前にMDGs「ミレニアム開発目標」という宣言及び目標が掲げられていた。主に発展途上国へ意識を向けた宣言である。発展途上国の人々すべてが人間らしい生活を送れるようにするために取り組むべき目標であり、実際に発展途上国の人権を一定程度向上させることに貢献した。貧困率の減少や初等教育の普及などである。一方で格差や社会的弱者の問題は依然置き去りにされたままであった。

SDGsとは、だれ一人取り残さない世界へ向け、MDGsでの成果と反省をもとに先進国の課題、環境問題などにも対象を広げた宣言である。現代では人間が環境に及ぼす負荷は大きなものとなっており、もはや人の幸せの追求に人間だけの問題を取り扱えばよいという時代ではない。SDGsとは人間、地球及び繁栄のための行動計画である。

大上段に振りかざせばこのような概念になるが、取り組みの主体は国連や国だけではなく一般企業や個人も含まれている。実際には、個人が商品を買うにあたりフェアトレードの企業をえらぶとか、エコバックで環境を意識するとかということだけでもSDGsの目標にかなった行動をしていることになる。個人が少しだけ高い意識をもって行動することが、地に足がついた意味でのSDGsへの実践である。

さて、医院におけるSDGsであるが、その前に少しだけ私の診療所の現況を述べておきたい。多くのクリニックでは、院長はいつも人事に悩まされていると聞く。私のクリニックは専門職は院長だけ、事務仕事は通常2人で回している。福利厚生など特別なこともないが、人事の問題は開業以来15年以上皆無である。2022年は月に200人を超える発熱患者が来た。コロナワクチンは最盛期で月に1000人弱接種していた。これだけの外来をこなすには、椅子の配置から補助金の申請と確認、ワクチンの時間調整などきりがないほどの仕事が生まれる。それでも、仕事多さや人間関係からくる人間間の軋みは生まれていない。

先に書いたように、個人が意識を持って行動すればそれがすなわちSDGsへむけて参加していることになる。大きな企業や国単位ではgood gavernancegood complianceが求められるが、医院などの小さなcommunity単位では法律や規則は最小限でよい。上意下達システムではなく、一人一人が考える環境にいれば、すなわちそこの働き方をそれぞれが形にしてゆくことになる。ちなみに当医院では消費財の管理も、シフトがどうなっているか私は知らない。よしんば事務に欠員が出ても新しい事務員の面接や募集もしない。欠員が出れば誰かが知人を連れてくるからである。器材を誤って無駄にすることがあってもだれも謝罪を求めない。失敗は改善につながり、怒りや謝罪は改善につながらない。必ずどこかで無駄は生じるが、それは投資でもある。医院経営におけるSDGsとはそういうことなのだと思っている。

治療においては、なぜその治療が必要なのかわかりやすく簡潔に、かつ頻回に説明し、治療の選択肢があればその選択を患者自身に選ばせるようにしている。このことでSDGsの精神にのっとった持続可能な疾患管理ができると信じている。例えば生活習慣病の場合などでは、治療者と被治療者そして疾患にかかわるすべての人が治療に参加できるように、治療強化をわざと遅らせて本人の努力を検証することがある。認知症の対処においても、なにが起こっているのか家族と確認し、患者自身と家族そしてそれらを取り巻く環境をよくして行くことに注力している。看護師や薬剤師、介護士との関係もしかり。さらに医師は、あらゆる疾患に対し新しい知見があれば紹介し説明できるよう専門職として不断の学習をしなければならない。医療のおけるSDGsはそういうことなのだと思っている。

医院経営においても治療の継続においても、すべてのステークホルダーが協同的なパートナーシップの下で、遠くにある計画の解決を目指して近くにあるターゲットを意識し取り掛かってゆく、これが当院が目指しているSDGsへの取り組みである。

などと偉そうなことを書きましたが、当院が成り立つ理由は当院で働いてくれる人たちがいるからです。とても感謝しているということを最後に付け足します。この付け足しがないと、私がエラそうすぎて申し訳ありません。本当のところ、私は何も考えずに日々の業務をこなしています。

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