新生児男児3500人に一人が罹患するx連鎖性遺伝筋疾患です。原因遺伝子はDMD遺伝子(79エクソン)の変異によるジストロフィン欠損であり、変位形式としては60%がエクソン欠失によるフレームシフトで発症します。幼児期に筋力低下で発症し青年期から壮年期で心不全や呼吸不全で亡くなります。ジストロフィンは筋細胞膜の裏打ちをしているタンパクで、これがないと筋細胞膜が脆弱になり筋細胞が壊れてゆきます。これが病気の本質です。
デュシャンヌ型筋ジストロフィーとなるジストロフィンをコードするエクソンはたくさんありますが、要は遺伝子異常によるout of frame shiftをin frame shiftになるように、どこかのexonをスキップしてしまえば不完全ながら機能を持つジストロフィンをつくれるということです。今ではexon53をスキップすることによりデュシャンヌ型をベッカー型に変える核酸医療が実現しています。もちろんexon53とは全く関係ないところでout of frameを起こしている症例には効果がありません。53以外のexonをスキップする薬も開発されてきているようです。核酸治療薬がより骨格筋や心筋の細胞に到達しやすいように工夫がされています。