あめのもり内科

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2024.09.16

高齢化に伴い循環器系の疾患による死亡者数が増加しています。いずれ癌を抜いてしまうと考えられます。ちなみに2010年に癌と診断された患者の10年生存率は53.3%、心不全は48.4%でした。実は心不全の予後は癌より悪いのです。心不全をきたす疾患はいろいろありますが、一つ虚血性心疾患を上げてみます。冠動脈に対してPCIを行った症例のうち80%以上が男性、70%以上が高血圧症、50%が糖尿病あり、70%は脂質異常症、30%は現在または過去の喫煙者でした。また、30%は腎不全患者(CKD)で、この割合は年々増えています。透析患者の20人に1人はPCIを受けています。PCI患者のうち、高血圧症以外の生活習慣病割合は年齢ともに減ってきますが、CKDの割合は増えています。

さて、各臓器の機能は加齢によって衰えていきますが、特に腎機能は年齢と強い関連があります。日本人では腎臓一個につきネフロン数は100万以下で、諸外国と比べると少ない人が多いのではないかと言われています。

アメリカ心臓協会では、成人の心腎連関健康障害を考えるうえでCKM症候群を言う概念を提唱しています。これは、1肥満や糖尿病などの代謝リスク因子(M)、2慢性腎臓病(K)、3心不全・心房細動・冠動脈疾患・脳卒中・末梢動脈疾患などのCVDの関連に起因する因子(C)による健康障害と定義しています。米国成人の9割がこれに該当するらしいです。

現在、冠動脈内にたまったプラークの性状が超音波内視鏡などで分かるようになってきました。これにも腎機能が関係しています。CKDstageが低いと脆弱性プラークであることが多く、透析などCKDstageが高いと冠動脈にはプラークの総量は減るものの石灰化病変が増えてきます。また、カテーテル検査が必要な心不全患者の4割くらいはeGFRが60を切っており、1/4割はアルブミン尿が出ています。総合するとカテーテル治療が必要な心不全患者の半分はCKDということになります。さらにアルブミン尿のあるCKDは予後が悪いことが分かってきました。さて、虚血性にかかわらず、慢性心不全患者では7割がeGFRが60を切っており、何にしても心機能と腎機能には強い相関があることが分かってきています。ちなみに心房細動と腎機能にも相関があります。

 

 

 

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