あめのもり内科

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2024.11.03

社会が高齢化するに伴って貧血の患者が増えています。高齢者の貧血は認知症にもつながるので、昔のように処置不能と放置されてよいものではなくなりました。

現代ではMCV80未満か以上かで大まかに貧血の鑑別をします。さらにRDW(後述)が増えるMCV80未満の貧血はたいてい鉄欠乏性貧血です。RDWが増えなければ症候性貧血が多いということです。さらに、MCHC(ヘモグロビンをヘマトクリットで割ったものでヘモグロビンの密度を表すもの)も鑑別診断に必要です。

RDW(red cell distirubion width)という概念があります。これは赤血球の粒度分布曲線(ヒストグラム)から計測する赤血球体積の不均一性を表す指標で、値が大きければ赤血球の大きさのばらつき度が大きいということです。実は鉄欠乏性貧血でもビタミン決欠乏性貧血でも、すべての赤血球の大きさが変わるわけではなく、RDWが大きくなるということなのです。つまり正常の赤血球も多いのですが、異常な赤血球の割合が増えるということなのです。貧血があってもRDWが小さいと赤血球は粒ぞろいで炎症性(症候性)でそれほど心配はなさそうです。また、RDWが増えていてMCVが80未満では鉄欠乏性貧血です。

貧血を見れば必ず網赤血球を調べなければなりません。もし網赤血球が増えていなければ骨髄内に原因があります。さて、血管内溶結が起これば遊離ヘモグロビンが出現するため、その毒性により各種臓器に障害が起こります。

銅欠乏性貧血:胃切除をされた場合や、胃瘻、腸廔などを作成されている場合は銅欠乏性貧血が起こりやすく、亜鉛製剤をとっている場合も銅欠乏性貧血が起こります。この場合は亜鉛製剤をやめるしかなく、ココアを飲むようにすれば銅の補充ができます。

溶血:血管内溶血と血管外溶血がありますが、血管内溶血は極めて毒性の高いヘモグロビンが血中に漏れ出すことになります。通常でも少しは血管内溶血が起こりますが、この場合はヘモグロビンがハプトグロビンと結合し脾臓のマクロファージで処理されて鉄は再利用されます。貧血があってLDが500を超える場合は血管内溶血を考えなければなりません。場合によってはすぐに血漿交換が必要になる場合もあります。血管内溶血で見逃してはならないTTPは突然起こることもあります。従来はTTPには破砕赤血球が認められるといわれていましたが、実際には破砕赤血球の有無でTTPの診断はできません。診断を間違えると大変なことになります。

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