あめのもり内科

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2025.04.13

ある手書きの古い文体の文章をあるAIに読ませたところ、何回もトライした後に全く違う文章を作って現代日本語に読み下した文章だと提示してきました。あまりに違いすぎて笑ってしまいました。ほぼ作文でしたが、ここにAIと人間の思考の違いがはっきりと出たのだと思います。おそらくAIはどこからか文章を引用して、もっともらしくハルシネーションを起こしたのだと思われます。

AIは考えていないとよく言いますが、具体的には論理的推論の方法が人間とは違うのだと思います。AIは圧倒的なデータ量とそれを瞬時に分析することで、ある結論を演繹的にまたは帰納的に導き出すことはできます。しかしながらわずかな手掛かりをもとに結論を導き出して検証しそれを修正することはできないのでしょう。AIは一定数以上の例がないと答えを導き出せないし、複数の全く違う事象から一定の共通項を推論しない。目に見えないメカニズムからは推論ができないのです。非論理的推論、アブダクションはできないといい変えてよいと思います。なるほど、人工知能はそういうものかと納得します。従って、AIが出てきた結果をみるだけで、肝腎の人間にその推論を検証する能力がなければ、AIによって偏った思考が補強されるだけになってしまうのだと思います。人種の平等性に懐疑的な者がナチスの行った行為を間違ったものとして検証したつもりでも、いつの間にか差別主義的な自分の考えを補強するような答えをAIから得ることになり、その答えが間違っていることにも気づかず誤った理論補強を確たるものにしてしまい、いつか本物の人種差別主義者になるということはあり得ると思います。AIの出した答えから人間がアブダクション推論し、その結果をAIに投げて結果を検証し出てきた検証値をさらにアブダクション、演繹、帰納する、それを続けるような方法がAIの活用に良いのでしょう。

AIに医学の国家試験や専門医試験を解かせて、その答えを専門家である医師が検証し自分の知識と考え方の幅を広げるのに使うには役に立ちます。しかしながらそれは、その内容の真贋を「推論」できる専門家だからできることで、一般の人が医学をAIに頼れば危険なことになりかねないと思いました。その他、高度な専門性が必要とされる分野、例えば法学や哲学その他自然科学などありとあらゆる「学」の世界では同じことが言えるのだと思います。人は意識せずとも、演繹や帰納だけではなくアブダクションも駆使して論理的推論法を使っています。

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