あめのもり内科

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2025.04.29

 

弱毒生ワクチン

人間に対する病原性をコントロールした、病原体そのもので作ったワクチンのことです。16世紀の中国やインド、トルコなどでは、天然痘の瘡蓋を鼻に摂取するという一種のワクチン(variolation)がすでにありました。死亡率が1/10くらいに低下することが知られており、のちにイギリスにも輸入されました。その発展形で、牛痘を利用したのがジェンナーの天然痘のワクチンであり、ジェンナー自身もvariolationを受けていました。その他にも牛の結核菌を用いたBCGや、同じく牛からのロタウイルスワクチンなどがあります。黄熱ワクチンやムンプスワクチン、風疹ワクチンなどは、ヒト以外の様々な動物の様々な組織に継代培養して少しずつ性質を変えて、ヒトには弱毒化したウイルスを使用しています。

不活化ワクチン

病原体を処理して感染性を失わせて作ったワクチンです。インフルエンザ、狂犬病、ポリオ、日本脳炎などのワクチンがあります。生ワクチンよりも弱いので何回か摂取する必要があったり、アジュバントと言って免疫増強剤を添加したりします。生ワクチンよりも安全性が高いことが多いのですが、効き目は弱めのことが多く、生ワクチンも不活化ワクチンも製造に時間がかかります。ちなみにadjuvantが、なぜ、どうして、どのように、はまだ経験によるものが大きいようです。Ad+juvareラテン語(~へ)+(助ける)で、学問的な言葉はラテン語からの借用合成語が多用されます。

核酸ベースワクチン

RNAワクチン

ウイルスや細菌のタンパク質の設計図となる「メッセンジャーRNAmRNA)」を人工的に合成し、体内に注射することで、細胞にそのタンパク質(抗原)を作らせ、免疫反応を誘導するワクチンです。mRNAワクチンを接種すると、体内の細胞がウイルスの一部を作り出し、それを異物として認識した免疫系が抗体や免疫細胞を作るため、実際の感染時に速やかにウイルスを排除できるようになります。mRNADNAに組み込まれず、DNAは改変されません。初回投与で液性免疫、細胞性免疫が誘導でき、病原体の遺伝子配列が分かれば数か月で治験ワクチンが準備できるという特徴があります。

ウイルスベクターワクチン

ウイルスとは、ある生物の細胞に自身の遺伝子(核酸)を注入し、その設計図に基づいてその細胞に自身の構成要素を作らせることで増殖する装置です。ウイルスが細胞に遺伝情報を注入すること自体細胞にとって異常であり、病原性の本質です。人工的に、感染しても増殖しないウイルス(運び屋ウイルス)を作り、その運び屋ウイルスの遺伝子に、病原性を有するウイルスの病原性を持たない一部の遺伝情報を組み込むことで、効果的に病原ウイルスの遺伝情報を細胞に届けてワクチン効果を発揮させるという手法です。まあ、自然感染に近い形で安全に免疫を受ける方法と一般的には理解してよいかと思います。

病原ウイルスの感染機序が詳細に解明され、ウイルスの構造上「変化しにくい部位(保存的領域)」が特定できれば、その部分を標的とした核酸ワクチンは非常に効果的になると考えられます。そうすれば不活化ワクチンのような液性免疫だけを賦活化するのではなく、細胞性免疫をも不活化でき、より抵抗力をつけさせ、感染に迅速に対応できるワクチンがどんどんできてゆく可能性があります。一方で、実際に感染したよりも強力な免疫力をつけることで、免疫機構が錯綜し将来的に不利益が起こる可能性もありそうな気がします。感染免疫は感染機会がなければ不必要で、免疫とはいわば必要悪と考えられる部分もあるからです。免疫機構も、加齢により自己・非自己の区別がつかなくなってゆきます。ワクチンで、適当に感染免疫を強化することで、衰えた区別能力が鍛えられることがあればいいと思います。その証拠は今のところありませんが。一般的には、運動など体にある程度の負荷をかけることで、負荷をかけないよりましな健康状態を保つことができます。生物の体は、あまり安泰にするとさぼります。

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