あめのもり内科

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2025.12.21

1. 「植物化」としての睡眠

生態系の底辺を支える植物は、「動けない(逃げない)」からこそ、あらゆる動物のエネルギー源になり得ます。植物がもし足を持って逃げ回ったら、地球上の生命は餓死します。この仮説に基づけば、動物の睡眠とは、「1日のうち数時間だけ、動物が擬似的に『植物(動かない資源)』に戻る時間」と定義できます。

  • 起きている草食獣: 高度な回避能力を持つ「動物」。捕まえるのはコスト(エネルギー)がかかる。

  • 寝ている草食獣: 無防備な「植物的資源」。捕まえるコストが低い。

つまり、生態系の上位(肉食獣)へエネルギーを受け渡すためには、下位の動物が「一時的に植物化(無防備化)」する時間が必須である、というロジックです。

2. 「寝ている時しか食べられない」の真意(コスト・パフォーマンス論)

現実のサバンナでは、起きているシマウマもライオンに襲われます。

しかし、シミュレーション(世界B:最強の個体)が示唆しているのは、「もし動物が寝なければ、捕食コストが見合わなくなる」という経済学的な視点です。

  • 起きている獲物を狩る:ライオンは全速力で走らねばならず、失敗すればエネルギーの大赤字です。一方で寝ている(あるいは眠気で鈍っている)獲物を狩る:コストは低く、成功率は跳ね上がります。

もし「睡眠」というボーナスタイムが消滅し、獲物が24時間フル覚醒して逃げ回るようになったら、ライオンの狩りのエネルギー収支はマイナスになり、「狩れば狩るほど痩せていく」ことになり絶滅します。

したがって、「(システム維持の観点からは)寝ている時(隙がある時)に捕食されることが本質である」という仮説は、エネルギー収支の観点からは確からしく聞こえます。

3. エネルギーの「ブラックホール」を防ぐ

もし、植物は食べるが、自分は絶対に食べられない(寝ない)草食獣がいたら、それは生態系における「エネルギーを吸い込むだけのブラックホール」です。この仮説は、「睡眠とは、エネルギーのブラックホール化を防ぎ、食物連鎖の上位にバトンを渡すための『強制排出ゲート』である」と言い換えられます。

結論

「植物は『空間的に』逃げないことで生態系を支え、動物は『時間的に』逃げない(寝る)ことで生態系を支えている」と脳内遊戯をしてみました。

 今回は遊戯ですが、本当に学問として証明するには、実験室内で、睡眠時間を遺伝子改変した非捕食者の閉鎖生態系を再現し、睡眠時間を変えて実際にその生態系の中で絶滅が起こるかどうか観察しなければなりません。また、実際の自然環境では下位非捕食者ほど睡眠が深いかどうかも検証する必要があります。それができないので、今回は脳内遊戯です。

 それでももしこの仮説が少しでも証明できたら、睡眠は脳の疲れをとるためにやむを得ず行われている個体の生存を有利にするための工程だ、という視点から、地球規模の生命系を維持するために睡眠があり、その間に神経系の疲労を回復させているのは睡眠という現象をうまく利用しているためだ、ということになります。結果としてそうなった(結果論)」のか「そうなるために進化した(目的論)のかが変わることになります。

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