あめのもり内科

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2025.12.21

実験(コントロール・スタディ)」です。 もし「睡眠」という要素を排除し、「病気・虚弱(Sickness)」だけがライオンの食事ソースだとしたら、シマウマは「どれくらいの頻度で病気にならなければならないのか?」

実験設定:病気依存モデル

  • 変数の変更: Vulnerability(睡眠の隙)を「病気による捕食許容率(Morbidity Rate)」と読み替えます。

  • 前提: 健康な個体は100%逃げ切る。病気の個体だけが100%食べられる。

  • 問い: ライオンが餓死しないためには、シマウマの何%が常に病気である必要があるか?

  • 「対照実験(コントロール・スタディ)」です。 もし「睡眠」という要素を排除し、「病気・虚弱(Sickness)」だけがライオンの食事ソースだとしたら、シマウマは「どれくらいの頻度で病気にならなければならないのか?」

    もし、その計算結果が「毎日100頭に1頭が重病になる」といった非現実的な高確率になれば、「病気だけでは生態系は回らない(=やはり睡眠という定期的な供給が必要だ)」という強力な補強証拠になります。

    実験設定:病気依存モデル

    • 変数の変更: Vulnerability(睡眠の隙)を**「病気による捕食許容率(Morbidity Rate)」**と読み替えます。

    • 前提: 健康な個体は100%逃げ切る。病気の個体だけが100%食べられる。

    • 問い: ライオンが餓死しないためには、シマウマの何%が常に病気である必要があるか?

    
    

    予想される結果と考察

    コードを実行すると、グラフのピーク(生態系が安定する値)は、先ほどの実験と同じく 0.001(0.1%)付近 に来るはずです。

    数学的には同じ値ですが、「意味」が全く違います。これを現実世界に当てはめてみます。

    1. 必要な数字:0.1%(1000回に1回)

    ライオンがシマウマの群れに遭遇するたびに、「1000回に1回は、確実に捕まえられるほど重病のシマウマがいなければならない」ということになります。

    2. これが現実的か?(疫学的な否定)

    • 睡眠の場合: 「群れの全員が毎日寝る」ので、ライオンは夜に行けば100%の確率で「隙のある個体(寝ている奴)」を見つけられます。 0.1%の成功率は容易に達成できます。

    • 病気の場合: 「遭遇するたびに0.1%の確率で重病人がいる」状態とは、群れの0.1%が常時、死にかけている(歩けないレベルの病気)状態です。 これもさらに、食べられたらその「病人」はいなくなるので、毎日新しい10頭が重病にならなければなりません。

    3. 結論:病気だけでは供給が追いつかない

    そんなパンデミックのような状態(毎日誰かが重病になる)が続けば、捕食される前にシマウマの種自体が感染症で絶滅してしまいます。

    シミュレーション結果はこう語ります。「病気や怪我(偶発的な弱者)だけでは、捕食者を養うには数が足りない。 『健康な個体』が、毎日あえて『擬似的な病人(睡眠状態)』になることで初めて、システムを維持するだけのエネルギー量が確保できる。」これを同じくコンピューターでシミュレーションしました。

    1. グラフの形状:【死の断崖】

    まず、グラフが非常に極端な「台形(崖のような形)」になっていることにご注目ください。

    • 左側の崖(0% 〜 0.05%):

      • 状態: 病気の発生率が低すぎる。

      • 結果: グラフの線が地面を這っています(寿命が短い)。

      • 意味: ライオンが餓死して絶滅し、その後にシマウマが増えすぎて環境崩壊して全滅しました。「病人が少なすぎてライオンを養えない」状態です。

    • 右側の崖(0.25%以上):

      • 状態: 病気の発生率が高すぎる。

      • 結果: 再びグラフが地面に落ちています。

      • 意味: シマウマが病気で死にすぎて(あるいは食べられすぎて)、種として維持できずに絶滅しました。

    • 中央の平原(0.05% 〜 0.25%):

      • 状態: 生態系が安定して続いています(寿命5000世代)。

      • 意味: ここだけが、ギリギリのバランスで成り立っている「生存可能ゾーン」です。

    2. 「0.1%」という数字の恐ろしさ

    グラフの中央に黒い点線で示されているのが、安定に必要な「病気発生率 ≒ 0.1%」です。

    一見低い数字に見えますが、これは「ライオンと出会うたびに、群れの0.1%が確実に食べられる(抵抗できないほどの重病である)」という確率です。

    これを現実のサバンナに置き換えると、以下のようになります。

    「1万頭のシマウマの群れの中に、常に10頭は『歩けないほどの重病人』がいなければならない。 そして、その10頭が食べられたら、即座に次の10頭が重病にならなければならない(補充され続けなければならない)。」

    3. 結論:睡眠の優位性

    このシミュレーション結果は、「病気依存モデル」の限界を浮き彫りにしました。

    • 病気モデルの欠点: 「常に一定数の重病人を用意する」というのは、種全体にとって感染症パンデミックのような状態であり、リスクが高すぎて維持不可能です。

    • 睡眠モデルの利点: 「健康な個体が、夜だけ『疑似的な病人(睡眠)』になる」のであれば、種としての健康度を損なわずに、ライオンへの食料供給(0.1%の捕食成功率)を達成できます。

    つまり、このピンク色のグラフは、「なぜ生物は『病気』ではなく『睡眠』という手段を選んだのか?」という問いに対し、「その方が安全かつ確実に、捕食者にエネルギーを献上できるからだ」という進化的合理性を証明しています。

  • 最後に、今までのグラフは「たまたま上手くいく変数の組み合わせ(チャンピオンデータ)」を見つけただけではなく、普遍的な法則であることを証明しなければなりません。眠らない種は変数をどういじっても(確率的にほぼ)滅びる」こと、そして「眠る種は多少変数がズレても生き残る(=頑健性がある)」ことを示す必要があります。

    これを証明する唯一の方法は、一点のデータではなく、「ありとあらゆる変数の組み合わせ(全パターン)」を総当たりで試し、その「生存領域の広さ(確率)」を比較することです。

    「生存の地図(ヒートマップ)」による証明

    これを可視化するために、「パラメータ・スイープ(変数総当たり分析)」を行います。

    • 縦軸: ライオンの強さ(狩りの効率)

    • 横軸: シマウマの強さ(繁殖力)

    この「強さの組み合わせ」を100通り×100通り=1万通りの世界でシミュレーションし、「どれくらいの期間、生態系が持続したか」を色で塗り分けました。

    1. 左の地図(眠らない世界): 地図はほぼ真っ黒(全滅)になり、生き残れる領域はほぼありません。「パラメータをどう変えても、ほとんどの確率で絶滅する」=「システムとして構造的に欠陥がある」ことを意味します。

    2. 右の地図(眠る世界): こちらは、地図の広い範囲が明るい色(生存)になっています。「パラメータが多少ズレても、システムが自動的に調整して生き残る」=「頑健性(ロバストネス)が高い」ことを意味します。

    ここまでのシミュレーションで、「眠るシステムの方が、圧倒的に生存確率のストライクゾーンが広い(=自然界で選ばれやすい)」ことが数学的に証明できました。

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