糖尿病の治療は血糖を下げることに主眼がありますが、どうも血糖にこだわりすぎているような気がします。糖尿病の薬物療法は、体の細胞に”余った血糖”を押し付ける治療ばかりでした。この根底には、細胞のエネルギー源は第一に糖であるという考え方があります。血糖値は高いのに体の細胞が糖を利用できず、細胞内飢餓の状態が糖尿病だというのです。学生の時にはそう習いました。
しかし実は、体細胞は有酸素下での第一のエネルギー源は脂肪酸やケトン体です。確かに無酸素環境下(短距離走や重量挙げ、虚血を起こした心筋など)では糖が第一のエネルギーです。しかしながら人間は酸素を利用してエネルギーを作り出す生物です。酸素は毒ですが、酸素を利用するほうが無酸素下でエネルギーを作るよりずっと効率的です。故にこの世は酸素を利用する生物がはびこっているわけです。
ということは、、、血糖が高すぎて体の細胞が糖を拒否している状態が糖尿病ではないでしょうか。この状態をインスリン抵抗性と呼んでいるのではと思います。血糖が高いとインスリンの分泌量が減りますが、実は膵β細胞も血糖が高いと糖を拒否するので、エネルギー産生効率が落ちてインスリンを作れなくなるのではと思います。
今までの糖尿病治療は、体内で血糖をどこかに分散させることを考える治療法ばかりでした。そうではなくいっそのこと高い糖は外に捨てるのがよいのでしょう。インスリンの絶対的欠乏状態にある一型糖尿病と、体細胞が血糖を拒否している二型糖尿病とは全く別の病態だと思います。二型の病態を一型の病態で説明しようとすることが、糖尿病治療のそもそもの間違いだと思います。
中枢神経系のエネルギー源は主に糖です。故に血糖が下がりすぎれば意識を失いますが、糖が唯一のエネルギー源ではありません。赤血球はミトコンドリアを有さないために糖しか利用できないのでしょう。しかも体細胞60兆個のうちの30兆個を占めるといいます。ということは、、、血糖は赤血球のため、そして中枢神経のためなのではないでしょうか。
フルマラソンや100㎞マラソンを血糖持続測定しながら絶食で走ったり、SGLT2阻害薬を服用しながら走ったり、その他血液検査をしながら走ったりして考えてみました。