左室駆出率が低くなっている慢性心不全で急性増悪をきたした場合にループ系利尿薬がよく用いられます。これは、遠位尿細管でのナトリウム再吸収を抑えることで体液貯留を改善します。しかし長期にループ系利尿薬を使っていると、下位の遠位尿細管や集合管でのナトリウム再吸収が促進されてしまい、その効果が薄れてゆきます。これを防ぐためにサイアザイド系利尿薬を併用し、下位でのナトリウム再吸収を阻害します。しかし、副作用として低カリウム血症や低ナトリウム血症のリスクが増加します。また、ループ利尿薬の長期投与で低カリウム血症が起こったり、交感神経系やRAA系が活性化しかえって予後が悪化します。
体液貯留が改善した慢性期心不全では、標準治療に加えてMRAの投与で低カリウム血症を予防できます。またMRAは全身のレニンアンジオテンシン系を抑制することで心不全に効果があることが分かっています。このように、心不全には体液貯留管理と予後改善管理の二本立てで対処しなければなりません
実際に老人ホームで処方されている薬を見ると、急性期の処方が漫然を継続されていることが多くあります。
blog心不全での利尿薬の使い方
2020.06.07