あめのもり内科

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2020.12.18

腎臓の機能が徐々に悪化してゆく病態を慢性腎疾患といいます。その原因は様々で糖尿病や老化に伴うCKDが多いことが知られていますが、実は原因不明であることが一番多いのです。その理由は原因がわかる前に腎機能が悪化してしまい、もはや原疾患の検索はCKDの改善につながらない場合も多いからです。今ではCKDガイドラインというものがあって、腎機能と尿たんぱくの程度などによって疾患重症度を判定するようになっています。CKDの早期の安全な時期に腎臓生検(腎臓の細胞の一部をとってくる)を行って、病態の把握と進展を防ぐことが理想となります。そうすれば現在1500万人と言われている日本人CKD患者の数が減り、健康寿命も延びると考えられます。
さて、同じCKDといっても糖尿病性と慢性糸球体腎炎、腎硬化症の場合では病態の進行の仕方に違いがあります。糖尿病では尿たんぱくが出始めるころから、冠動脈疾患等の動脈硬化症を伴って急速に進行します。慢性糸球体腎炎では、風邪を引いたり、妊娠出産をしたり、その他のイベントを契機に階段状の悪くなってゆきます。腎硬化症の場合は、腎臓内の血管が硬化して細くなるので、ある時腎内虚血がよくなったり悪くなったりしながらギザギザと腎機能が低下してゆきます。同時に血中カリウム値もギザギザとしながら上がってゆきます。
いずれにしろ進行したCKDには対症療法しかありませんが、最近になって腎性貧血の経口治療薬(HIF-PH)やSGLT2阻害薬の登場があり、久しぶりに腎臓に効く薬が出てきました。それでも、CKDには早期の診断と治療が何よりであることに変わりはありません。ちなみにHIF-PH製剤は脂質を良くしたり血管新生を促してagingにも良い効果があるかもしれないといわれています。
究極のCKD治療は透析ですが、日本では毎年4万人が透析導入され、透析患者の3万人が死ぬので差し引き毎年1万人の透析患者が増えていることになります。また透析導入される年齢が一番多いのが80歳です。国によっては65歳過ぎれば透析導入しないと決めているところもあるそうです。もはや末期CKDは国民病といっても過言ではありません。日本の治療の特徴として、CKD末期の方はほぼ透析になります。腎臓移植はほとんどありません。脳死の人数は諸外国と比べても少なくなく、脳死の時に臓器提供の意思を示している人も少なくありません。腎移植を行う行政組織が不十分のためなのと、腎移植を行うインフラが日本にないからだそうです。

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