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コロナワクチンと免疫の勉強

2021.05.04

免疫とは体から異物を排除して生体を守る働きのことですが、主には液性免疫といってB細胞が作る抗体による方法と、細胞性免疫と言って感染した細胞を破壊してしまうT細胞による方法があります。ワクチンの強さを測る抗体価は液性免疫の強さを表しているわけで、免疫の強さをすべて表現したものではありません。コロナワクチンによる抗体価は、自然感染によって得られる抗体価よりも強いことが分かっています。ワクチンの有用性が非常に高いわけです。

コロナウイルスの表面には、細胞に取り付いて感染するスパイクタンパクが表現しています。ワクチンによって誘導された抗体はこのスパイクたんぱくの一部に取り付いて機能を奪うことで無毒化します。従来のワクチンは三種類あり、病原体を接種する生ワクチン、不活化したワクチンを接種する不活化ワクチン、病原体の一部のたんぱくを摂取するコンポーネントワクチンです。これに対して新しいタイプのワクチンには、病原体の遺伝情報をベクターワクチンを用いて体に入れるベクターワクチン、遺伝情報のDNAを体に入れるDNAワクチン、遺伝情報のRNAを入れるRNAワクチンがあります。ファイザーのワクチンはmRNAワクチンですが、不安定なRNAを脂質膜で包み体内に注射すると、主に免疫細胞に取り込まれ、その遺伝情報に従って作られたウイルスのスパイクタンパクが細胞膜に表出されます。抗原提示細胞表面にできた、ウイルスのスパイクタンパクに対する抗体が産生されるというわけです。ヒトの細胞は逆転写酵素を持っていないために、mRNAからDNAが作られることはなく遺伝子改変がないのでこの点では安全です。製品としての安定性が低いために、極低温保存が必要だったりします。

ベクターワクチンは、アデノウイルスをベクターとしてコロナウイルスのDNAを細胞に入れます。そのDNA情報に基づいてRNAが作られあとは同じ過程です。なお、ベクターは分解されるのでこれもウイルスDNAによる遺伝子改変は起こりません。しかしながらベクターそのものに対する免疫応答が起こるかもしれません。こちらのシステムを利用したコロナワクチンも開発されています。

今回のmRNAワクチンは液性免疫のみならず細胞性免疫も不活化し、IgAも誘導するので感染予防効果もあるようです。抗体依存性増強といって、無効な抗体がウイルススパイクに接合することにより細胞内へのウイルス取り込みが増強する、すなわち病原性が増強するようなこともないようです。

新しい技術を使ったワクチンは開発が早く、今回のコロナウイルスゲノムがすべて読み取られてその配列が発表されてからワクチンができるまで一年しかかかっていません。もう、それにもびっくりしました。

 

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