あめのもり内科

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2021.05.16

子宮頸がんはパピローマウイルスの感染で起こるがんですが、このウイルスの仲間はほとんどが無害です。このウイルスは長く人間の細胞に感染して生き残ることが目的なので、重層上皮の基底層に感染しここでは増殖しないそうです。基底層の細胞は長く生きるので、ここにおとなしくいればウイルス遺伝子が残ってゆくことができるのです。ウイルスは時間の経過によって上皮細胞にこもったまま、細胞の自然経過として中層から上層に移り脱落してゆきます。免疫反応から逃れて生き残る操作もしており、このため長く感染し続けるのです。
さて、なぜこのウイルス感染で癌になるかですが、積極的にがんを発生させているのではなく、たまたまウイルスが人間の癌抑制遺伝子の発現を妨げるからだそうです。ウイルスの持つ「たまたま」の能力だそうです。感染者がすべてがんになるわけではないのはそういうことも関係しています。
ワクチンは、複雑な工程を経てウイルス外殻タンパクを人工的に作って利用することで可能となっています。このためワクチンは製造単価が高くつくのです。その一方で、ワクチンの効果は20年くらい続くだろうとのことです。ワクチンはウイルス外殻を壊すのですが、ウイルスは感染した細胞内では外殻を持っていません。したがってワクチンは治療ではなく初感染予防として使われるのです。
HPV感染といっても、すべての子宮頚部重層細胞が一度に感染するわけではないので、HPV感染した後でも、ワクチン接種で未感染で存在している細胞を守り、結果として子宮頸癌発現の可能性を下げることはできるかもしれません。一度HPV感染した人は、近くに感染源がいて何度も感染しているかもしれません。また、そもそも体質的にHPV感染に弱いかもしれません。それらの点を考えると、HPV既感染者でもワクチンを接種したほうが良いかもしれません。
人間の全てのがんの5%がHPV感染が原因なので、このワクチンで感染予防すれば人類の癌がかなり減るということです。日本では、医学的に間違っているマスコミ報道のせいで子宮頸がんワクチン接種が進まず、これからの問題となると思われます。

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