あめのもり内科

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2021.05.20

心不全はいくつかに分類されますが、一般的には心臓のポンプとしての機能が落ちる心収縮不全型心不全が思い浮かびます。実際には、心臓の拡張力が落ちるタイプの心不全、その他簡単な分類では収まりきらない様々な心不全があります。心不全の定義が変わってきています。ここでは心収縮力が落ちるタイプの心不全に対して新薬の効果について勉強しました。
かつては心収縮機能の落ちるタイプの心不全に対して、心拍数を落とすような薬は禁忌と考えられていました。今では昔と真逆で、このような心不全に対して心拍数の落ちるようなベータブロッカー使うべきだということになっています。ただし、ベータブロッカーは陰性変力作用があるため一時的に心機能を悪くします。この点から、もしかするとベータブロッカーは、イバブラジンなど心拍数だけ減らすだけの心不全治療薬に首座を譲る可能性があります。あるいは病期によって薬剤の使い分けが出てくると思われます。
新薬であるイバブラジンは心機能に影響することなく心拍数のみを下げる薬です。驚いたことに、これまでの様々な研究より、心拍数を下げるだけで心収縮機能低下による心不全に効果があることがわかってきました。何をもって効果というかということですが、心不全悪化による入院を減らすということです。不思議なことに、イバプラジンを使っても心不全で起こる自然死亡率には変わりがありません。つまり、この薬は心不全悪化による入院は避けられるとしても寿命の延伸には効果がないということです。その理由はわかりませんが、ただ単にまだデータ不足ということなのかもしれません。これからこの薬が使われて心臓収縮不全による心不全の治療が行われてゆくと、結局は心不全の予後はよくなるのではないでしょうか。なにより、外来で安全に処方できる薬で心不全に効くということであればとても使い道があるというものです。戦後ベビーブーマーが一斉に後期高齢者になり、加齢に伴う心不全パンデミックがおこることが分かっている現在、医者が使える強力な武器がまた一つ増えました。

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