お知らせ

心不全の新しい薬

2021.07.04

心不全とは心臓のポンプ機能が低下している状態名で病名ではありません。一般的に思いつきやすい収縮不全だけではなく、拡張能力が落ちている心不全もあり、そのほか様々なタイプの心不全が分類されています。それぞれのタイプの心不全には互いに移行してゆくものもあります。今回は収縮不全に対する新しい薬が出たのでその勉強をしました。

収縮不全を悪化する因子として、交感神経系の過度の緊張、レニンアンギオテンシン系の過度の亢進があり、これまでの薬はこれらの因子を制御することに主体が置かれています。これらの機能異常系統に効く薬も新しく出てきており、それはそれで使い方を正しくすればかなり効果があります。まだ新薬の段階ですが、実際に使用してみると本当によく効きます。特に早期の心不全の状態を良くして心不全での入院を防ぐ薬です

今回は、心臓の細胞そのものに効く薬について勉強しました。心臓は、発生学的には血管の一部であり、したがって血管内皮の機能に影響を受けます。影響をきたす大事なものに、内皮細胞が発生する一酸化窒素があります。これは心筋細胞内のNO受容体sGCを刺激し、細胞内情報伝達物質のひとつであるサイクリックGMPを産生させます。この物質cGMPは多岐にわたる機能があり、心筋に対しては心筋肥厚の抑制、心筋硬化の抑制、心筋線維化の抑制、炎症の抑制などがあります。心不全心筋ではNO-sGC-cGMp経路が不全であるため、これらの経路を賦活化すれば心不全の進行を防げるというわけです。いまだ上梓はされていませんがぜひ使いたい薬です。

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