あめのもり内科

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2019.03.04

 癌免疫療法は120程前に始まりいろいろな変遷を経て、今ホットな癌治療分野になっています。、

 従来の免疫療法は、様々な物質を体に投与して免疫を高める方法で、薬効に科学的裏付けがなくほぼすべて失敗しています。免疫細胞を体外に取り出して癌に対抗する力をつけて体内に戻す方法(免疫細胞療法)や、癌ワクチンなどもありましたがやはりどれも効果がありませんでした。最近になって免疫チェックポイント阻害薬や遺伝子改変T細胞移入療法が出現し、科学的効果が証明され特徴的な持続効果から癌治療のパラダイムシフトが起こりました。

 癌に関する免疫応答のシステムは非常に複雑で、いちいち説明文を書いていれば紙面が足りず、さらに複雑さから理解ができなくなってしまいます。癌細胞は、生態が自然に持っている異物排除の機能=免疫能を逃れる仕組みを持っているために増殖に歯止めがかからず生体を食いつぶしてゆくのです。この仕組みを壊してしまえば、癌とて生態の正常な免疫能力によって破壊されてしまう、その仕組みを壊す方法が免疫チェックポイント阻害薬です。また、癌を異物として排除する機能強化の方法が遺伝子改変T細胞移入療法というわけです。

 癌細胞は、免疫細胞の特殊な分子(免疫チェックポイント分子)を働かせることで免疫細胞に認識されないようにしているため、この免疫チェックポイント分子を阻害すれば、癌細胞は免疫細胞に体をさらすことになります。チェックポイントはいくつかあり(PD1, PDL-1, CTLA-4)、それぞれに対する抗体を総称して免疫チェックポイント阻害薬といいます。

 実際にはすべてのがんが免疫チェックポイントを持っているわけではなく、癌の部分によっても違いがあったりします。また、うまく免疫チェックポイント阻害薬が癌に届かなければならず、そもそも免疫細胞そのものが癌に届かなければ意味がありません。薬は免疫機構を操作するため、思わぬ副作用が時間をおいて出てくることもあります。従来のがん治療との組み合わせや、複数の免疫チェックポイント阻害薬の組み合わせで、どのような癌にどのように効くのか、予後はどうなるのか、完全治癒はあり得るのかなど様々な研究が行われ、様々な治療法が試みられています。いずれにしても従来の治療とは全く違った画期的な治療となりうることは確かです。いつか、あらゆる癌がコントロール可能となる日が来るのでしょうか。

 などという勉強を今しています。とても複雑で幅広い知識を持ち、さらによく考えなければなかなか理解が難しいと思います。

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