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COPDの薬物療法

2020.08.28

慢性閉そく性肺疾患という病態があり、死因のかなり上位を占めています。日本においては、ほぼたばこが原因とされており、酸素の摂取効率が低下するために生活の質に大きく関係します。具体的には階段の上り下りなどの際に息切れをするということです。喀痰量も増えます。息切れをするということは運動できる範囲が減るということで、運動量が減ると肺以外の病態にも悪影響を及ぼします。

禁煙をしても一度悪くなった肺の機能は完全回復するわけではありませんし、場合によっては禁煙後もだんだん悪くなってゆきます。煙草の悪影響は人によって違いますが、COPDには何らかの治療が必要となります。かつては短時間作用型の吸入薬しかありませんでしたが、この数年間で長期間作動型の吸入抗コリン薬(LAMA)、長時間作動型の吸入ベータ刺激薬(LABA)が出てきました。この二つの薬を同時に使えば、炎症で細くなった気管支が広がり、喀痰の量が減り、肺の血流も増えて肺の機能が改善します。病態の進行も抑えることができます。これらの二剤合剤薬は、それぞれの単剤よりも圧倒的に効果が高く、副作用はそれぞれの単剤と同じ程度です。最近ではこれに吸入ステロイドを加えて、三剤合剤の吸入薬も出てきました。

高齢のCOPDには喘息の要素をかぶっていることが多く、特に日本の高齢男性では若い時に90%以上の人がタバコを吸ったことがあります。そのような症例には三剤合剤のメリットが見えてきました。

実際の臨床現場で扱う症例は、様々な病態や様々な社会背景もった人々の集まりです。一方、薬剤開発の段階で得られた知見は、一定のそろった病態を持つ症例でのデータ集積です。臨床現場で、そのようなデータを実際にどのように生かすかが医師の腕の見せ所です。うまくこれらの薬を使い分けて治療にあたってゆきたいと思います。

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