慢性閉塞性肺疾患(COPD)といわれる肺疾患の概念があります。主にたばこの煙を吸引することによっておこる病気で、具体的には運動時の呼吸苦のために運動ができなくなる病態です。現代では世界中で死因の上位を占める病気になっています。併存する疾患も多く、その本質は肺を首座とする全身の炎症反応ですが、血管に炎症が及ぶので循環器血管系の病気も増えるという道理です。運動ができなくなれば循環器も悪くなります。日本の男性高齢者はほとんど喫煙歴があるために大きな問題になっています。タバコをやめるとCOPDの進行は緩やかになりますが、健康人に戻ることはなく、進行を完全に止めることもできないようです。
タバコをやめてもCOPDがあるだけで慢性の心機能低下は起こるので、肺を助ける意味でも循環器系を助ける意味でもCOPDの治療は重要です。具体的には気管支を広げて炎症を抑えることです。今では気管支を広げる二種類の薬と、炎症を抑えるためのステロイド薬が混ざった三剤合剤の吸入薬が使われるようになってきました。
どんな病態の人にこの三剤併用薬を使えばよいのかなどについて病態生理の観点も含めて勉強してきました。この薬は、高齢者に多くて治療薬のない拡張不全型の心不全にも効く可能性もあるとのことでした。その理由も勉強してきました。
blogCOPDと循環器疾患
2020.10.26