しばらく前から超長期に効くインスリン製剤が出ており、外来でのインスリン治療がとてもやりやすくなりました。健康な人間でも、血糖調節のために基礎インスリンと言って必ずインスリンは膵臓から血中に分泌されています。この分泌量が少ない人に対して、注射で基礎インスリンを補うというイメージです。もちろん、基礎インスリンが出ている人でも、経過から血糖をまず下げることが優先される場合などにもこの注射薬を使うことがあります。良い薬を使っていても、血糖が恒常的に高いと薬の効果が出ないからです。まず、血糖を下げておいて薬に対する体の反応性を上げるわけです。
さて、空腹時の血糖は正常でも食後に血糖が上がってしまう人もいます。その理由も様々ですが、この場合は基礎インスリンを補うだけではうまくゆかないことがあり、GLP1製剤という別のタイプの注射薬を使うことがあります。その薬は食後の高血糖に体を備えさせる働きがあり、満腹時の体や心の状態を再現することができます。一週間に一度だけ注射すればよいタイプのものもあれば、毎日打つタイプのものもあります。それぞれ特徴があり使い分けが必要です。今回は毎日打つタイプのGLP1製剤と超長期間効果があるインスリンとの合剤について勉強しました。症例をうまく選べば、超長期間有効型インスリンの注射は必要なく、合剤で治療したほうがよさそうです。もちろん合剤でもうまくいかない程度の症例も存在し、その場合は有効期間の異なるインスリン製剤を一日四回打ちになります。
確かに合剤の注射薬の手ごたえはしっかりしたものがあります。
blog糖尿病の注射療法
2020.11.22