様々な原因で悪くなった腎臓に対して効果のある薬として注目されています。
SGLT2は近位尿細管にあり、ここからナトリウムやブドウ糖が再吸収されます。尿細管細胞に負荷がかかっているわけで、正常人でも尿細管はエネルギーをたくさん使って「がんばって」います。この「頑張り過ぎ」をとるのがよいのだろうと考えられています。また、SGLT2が頑張れば、そこに隣接する間質にも負荷がかかり造血が阻害されます。SGLT2が休憩すれば造血に結び付き、血行動態によい影響が出ます。これも腎機能に良い理由です。それではどのくらい効くのでしょう。
誰でも腎機能は徐々に悪くなってきます。2型糖尿病のある70歳くらいでeGFRが60程度の人であれば、年間3から4程度eGFRが低下します。この薬で低下速度が1/10程度になります。慢性腎臓病の中でもある限られた集団についてのお話ですが、おそらく糖尿病のないCKDにも効きます。
糖尿病の人に対しての血圧や血糖の治療が進んだことで、糖尿病性腎症にともなるアルブミン尿は減ってきました。ところがeGFRの低下は抑えることができませんでした。SGLT2阻害薬はそこのところに効くわけです。
この薬は使い始めの時に尿量が増えるので脱水が心配されていましたが、それは杞憂です。高齢者のサルコペニアにも関係ありません。循環血漿量減るはずなので、脳梗塞などが起こりやすいなどと推測されていました。それも杞憂で、実際には循環血漿量は関係ありません。今のところ、悪い要素が見つからない薬です。
などという勉強をしてみました。