あめのもり内科

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2022.10.08

 かつてピルと言われていた薬と治療について勉強しました。
 ピルと聞くと避妊薬として思い起こされますが、同じ薬を月経関連疾患に使うということです。女性の半分以上が月経随伴症状や更年期症状で労働や生活に支障をきたしているそうです。そこでエストロゲンとプロゲステロンの合剤を連日投与することで、内因性のホルモン分泌を抑えて月経をコントロールします。月経痛や、乳癌、子宮体癌も効率的に抑えることができます。この薬を飲むことで、服用中止しても30年くらいはこれらの癌の発生をかなり抑えられるそうです。この薬を使うときは、必ず深部静脈血栓症の可能性について言及されます。確かに起こると命に係わる病態ですが、この薬を飲むことで棄権率は1.3倍ほどになります。実は分娩後12週では、健康な人でも60倍に上がります。いわれるほどの副作用はないということです。しかも薬と深部静脈血栓症の因果関係は不明です。本当かどうかというレベルです。なんだか薬を飲むことは体にいいことばかりです。
 更年期には別の病態が発生します。卵巣が加齢に伴って機能を落としエストロゲンが下がるためです。エストロゲンを投与すれば劇的に効きます。非常にわかりやすく言うと、薬によって老化がかなり遅くなります。寿命もおそらく延びます。エストロゲンを投与されている人は、年齢の割に驚くほど若い人がいるのは確かです。乳癌が増えるという話がよく言われますが、実はほとんど関係ありません。
 なんだか生殖機能を抑えれば体に良いという話に聞こえますが、恐れくこれは一理あるのでしょう、私見ですが。種の繁栄のために個体の健康を犠牲にしているのだと思います。個体に死があるのは、種として若い命が必要なためです。ハチの巣の構成員はすべてクローンですが、若い個体は幼虫の世話をし、古い個体は蜜集めという危険な作業に携わり、さらに古い個体は水くみなどさらに危険な仕事をしています。ハチの巣が一つの生物で個体は細胞です。ハチの巣を維持するためには古い個体が永久に生きていては困ります。ハツカネズミの摂取カロリーを制限すると寿命が延びるという実験がありました。節制したほうが良いという話ではなく、子供を産めないくらい栄養を絞ると個体の寿命が延びる、つまり個体は種の保存のために自分を削っていたという話です。
 

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