あめのもり内科

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2022.11.16

今年は新型コロナとインフルエンザの同時流行があるのではないかと懸念されています。

半年前のオーストラリアではインフルエンザの大流行があり、これを根拠として日本でも流行がある可能性があります。今まで、世界ではインフルエンザの流行を恐れ、強毒化するかもしれないインフルエンザに備えて薬を備蓄しています。また、毎年のインフルエンザワクチン接種が推奨されています。実は恐ろしい感染症なのです。さて、新型コロナも恐ろしい感染症なのですが、何となく人の心がこれに慣れてしまって、心理的危険度が下がっているような気がします。しかしながら、この流行によって世界中の国の平均寿命が下がっていることを考えれば、やはり恐ろしい感染症だと言わざるを得ません。インフルエンザは、今までは流行しても平均寿命は下がっていませんでした。

新型コロナ感染症は、何回もワクチンを打ったにもかかわらず流行の波があること、動物と人の間で感染が認められることなどから撲滅は不可能だと思われます。抗体価で測る抵抗力は、ワクチンを打って半年で落ちてしまいます。また、コロナウイルスは次々と新種が出てきます。これが流行を止められない一つの理由です。しかしながら、何回もワクチンを打つと、確かにコロナ感染症に対する重症化予防は可能でその効果は半年たっても十分保たれています。これは臨床現場でも強く感じることができます。4回以上打った方は、たとえ高齢者でも軽症で済み、後遺症もほとんどありません。

外国では感染対策はしなくなり、もうマスクをしている人も少なくなっているようです。コロナを受け入れてしまっていますが、実はコロナによる死亡、long covidと呼ばれる後遺症は変わっていません。long covidはいつまで続くかもわからず、相当量の労働損失が起こっています。また、新型コロナは次々と変異しますが、弱毒化もしていません。流行が大きくなると弱毒化するという伝説がありますが根拠がないうえに、実際に小児のコロナ感染症は強毒化している可能性が示唆されています。

さて、インフルエンザですが、先行してオーストラリア史上最大の大流行があった事例から考えると、日本でも若年者の流行が増えそうです。インフルエンザに対する抵抗力がもともと少なく、さらに集団免疫が薄れているからです。また、RS,ヘルパンギーナ、手足口病なども集団免疫力が落ちており、もうすぐ小児の間で流行するでしょう。インフルエンザとコロナとの同時感染では、重症化率や死亡率も4倍にもなることが分かっています。一方で、インフルエンザワクチンによる重症化予防効果はかなりありそうです。マスクをしていたために流行しなかったウイルス感染症が集団免疫を落とし、いつかまた流行を迎えるという皮肉です。

それではインフルエンザの治療はどうでしょう。感染初期に抗ウイルス薬を使うことで、インフルエンザに引き続いて起こる細菌感染症を防ぐことができます。ウイルス量が少なくなるので、感染力も落とすことができます。特に新しい抗ウイルス薬は、耐性ウイルスの誘導は起こっておらず、明らかにインフルエンザの症状と感染力を落とします。ただし、インフルエンザはRNAウイルスなのでいつも変化しています。鳥インフルエンザの流行から科学的に検証すると、近いうちに強毒インフルエンザが流行してもおかしくはないそうです。

補足 面白い話がありました。ウイルスの話ではなく細菌の話です。抗生物質の効かない病原性細菌はいつも感染症を扱う医療界で問題になります。抗生物質の使い過ぎで誘導される変化だと思われていますが、実は発展途上国の環境汚染から出現するというルートが一番影響力が大きいということです。薬剤工場からの廃液や、治療を行っている人からの糞尿の環境への流入が原因というのです。現在、発熱や感冒に抗生物質を投与することは耐性菌出現の観点から避けられていますが、環境を良くしなければ薬剤耐性菌は出現し続けるということです。

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