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  • コロナ騒ぎでヒトの進化を考えてみました。

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2023.04.30

201912月初旬に武漢で最初のコロナ感染が確認されてから、今年4月で3年半になります。第8波が過ぎて今のところ感染症は落ち着いています。日本では、感染症対策が諸外国に比べ有効に機能していたこともあって、パンデミックごとの死者は諸外国より少ない比率で済んでいます。その裏返しとして、今後第9波が起こったときに死者数が多くなる可能性があるそうです。ヨーロッパではエンデミック状態で常にコロナウイルスにさらされているため、国民全体として抵抗力を獲得して死者数は減っているらしいのです。もちろん、ウイルスの病原性そのものが低下したためでもあります。しかしながら、もしかするとエンデミック状態に止めおいたほうが、長い目で見てヒトにはよいことなのかもしれません。

さて、話は飛びますが現生人類はヒト科ヒト属に分類され、一種類しかありません。ヒト科にはほかにオランウータン属オランウータン、ゴリラ属ゴリラ、チンパンジー属チンパンジーとボノボがありますが、科としては種類が少ないようです。ヒト科ヒト属以外のヒト科は個体数も少なく、生息域も限られています。滅亡の道をたどっているわけではないでしょうが、ちょっと心配になります。

700万年前、チンパンジー、ボノボの祖先とヒトの祖先が分かれた後、複数のヒト科ヒト属が同時期に生息していたことがありました。直近では、ホモサピエンスとホモネアンデルターレンシス、ホモデニソバニスなどです。今ではなぜかサピエンスしか残っていません。サピエンスは遺伝子プールが狭いので、急激な環境変化に対応するための遺伝子多様性が少なく、病気や災害などの脅威に弱いのではないかと考えもあります。生物は一般的にそういう傾向がみられますし、確かにネアンデルターレンシスはサピエンスよりもさらに遺伝子プールが狭かったようです。一方で、遺伝子の変化を伴わない表現型可塑性に関係する進化は比較的急速に進むので、遺伝子変化が少ないことが一概に生存に不利とも言えません。環境の変化の早さに合わせた対応が適切に素早くできるかどうかが鍵です。ヒトでは、表現型可塑性進化である文化的進化が急速に進みます。このようなエピジェネティクス性変化とそのあとにゆっくりと発現する遺伝子的変化によって、ヒトは案外としぶとく生き残るのかもしれません。

※文化的進化とエピジェネティクスの説明です。

エピジェネティクスは、DNA配列そのものに変化を与えることなく、遺伝子の発現に影響を与えるメカニズムの研究領域です。一方、文化的進化は、人間が社会的な環境の中で生きることによって、行動や思考に変化が生じることで進化するとされる概念です。具体的には、ある地域の文化的環境に適応した行動や思考が、その地域の人々の遺伝子発現に影響を与え、さらに子孫にも適応的な形で継承される可能性があるとされています。このように、エピジェネティクスと文化的進化は、人間の進化や適応に関する研究において、重要な役割を果たしていると言えます。これら2つの領域は、実は密接に関係しています。

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