今でもコロナ感染症の後遺症に決定的な治療がありません。1年以上続く後遺症はコロナ感染症の30%以上に起こります。武漢株では50歳台、60歳台に多く起こりましたが、今の株では20代から40代の若い世代に後遺症が多くなっています。コロナ感染症の半数以上は無症状または軽症ですが後遺症については重症度は関係ありません。無症状でも後遺症は出現し、その多くは長く続く咳嗽と倦怠感です。新しい株では10台の後遺症も多いことが分かっています。頭痛や倦怠感から学校にいけないというものです。
では、後遺症の治療はどのようにすればいいのでしょうか。それぞれの症状に対しての対症療法を行いますが確実な治療法はありません。感染後にワクチンを打つと半分近くの後遺症は軽減できるようです。おそらくコロナに一回かかればそのまま持続感染に移行することが理由だと思われます。あるいは感染早期に抗ウイルス薬を使うことが良いようです。持続感染しているウイルスの数そのものを減少させることができるからです。ウイルス量が減れば、サイトカインの量を減らし持続感染を減らすことができ、周囲への感染も減らすのでとても良いのです。
さて、それではどの薬が良いのでしょうか。ゾコーバが一番良いようです。併用禁忌の薬が多いのですが、禁忌の薬は代替薬を使えばよいのです。ラゲブリオの効果は限られているのでヨーロッパでは特別な理由がない限り第一選択で使用しないようです。ただし、自分が処方した実感としてはかなり効果があると思います。90歳以上の心不全患者に使用したところ、すぐに元気になってびっくりしたこともあります。パキロビットはこの薬の中間の意味を持つ薬だそうです。
結論として、コロナ感染症にはまずワクチンを、感染した場合には早期に抗ウイルス薬を、できればゾコーバを使うのが良いようです。