膠原病はかつては希少疾患ではありましたが、疾患の発見率が増え、治療法もよくなり、老化によるものも増えてきたこともあり、長期予後が良くなったこともあって膠原病そのものは増加しています。合併症は様々なものがありますが、最も予後に関係しているものは間質性肺疾患です。しかしながら経過も治療反応性も予後も多彩で予測が困難です。特に進行性に呼吸機能が低下するものは極めて予後が悪いことが分かっています。従来はステロイドや免疫抑制薬に加えて分子標的薬や抗線維化薬が加わり、治療法は進化を続けています。
膠原病を見つけたらまず肺疾患の存在の有無を見ることが大切です。その後、亜急性/急性の肺疾患がある場合は早く専門に相談することです。膠原病で高齢男性喫煙者はリスクが高く自己抗体や皮膚病変などが陽性例では診断の補完になります。身体所見検査では発見しにくいことも問題です。急性/亜急性の全身性強皮症関連間質性肺炎でMDA5抗体陽性の症例では1/3は診断から3か月以内に亡くなります。この場合高用量のステロイド、高用量のサイクロフォスファマイドの静注、高用量のタクロリムスなどを使いますが、当然ながら感染症は劇的に増えます。高度の免疫抑制療法は感染症による死亡も増やしてしまいます。手掌側の有痛性紅斑とGottron領域の潰瘍は抗MDA5抗体陽性、呼吸不全使途関連しています。一方で慢性のタイプでは治療は要しませんが1/3は数年の経過で死亡に至ります。診断は困難な場合が多いのですが、最近ではIL6阻害薬、B細胞除去療法、抗線維化薬などが開発されそれぞれ効果があることが分かってきました。しかしながらどのような症例にどのような薬をどのように使うかについてはいまだ明確にはなっていません。
間質性肺炎は免疫を抑制することが主体となるため、治療に伴う感染症が問題となります。多くは、過去の感染から潜在化した病原性微生物が再活性化して起こってくるものなので、潜在感染を明らかにして、間質性肺疾患治療を開始する前に対処することだ重要です。一般細菌が気道に定着していることは、気管支拡張症や喫煙症では珍しいことではないのです。COVID-19ワクチンを接種しておくことも強く推奨されています。潜在性結核については特にRAに伴う肺線維症に多いのですが、各種検査からこの可能性が判明するとINHの予防投与を6から9か月行います。肺内に定着しているPnyumocystis jirovecii(かつてCariniiiと呼ばれた)による肺炎も問題です。この肺炎は、菌体の少量の増殖に対する免疫過敏反応なのでステロイドが著効します。膠原病の治療中には感染症ばかりではなく、薬剤性の間質性肺疾患も問題となります。もともと間質性肺疾患を持っている症例ではなおさらです。
膠原病における呼吸器合併症は生命予後規定因子であると同時に、膠原病そのものの治療選択における製薬となる、多彩な呼吸器病変が高頻度に認められる。早期発見とともに予後、信仰リスク評価と治療薬選択管理が必要です。当然ながら、急性肺障害児には専門施設での迅速な病態鑑別とともに治療開始が必要となります。