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  • 心不全 従来の血圧管理は甘すぎるという話

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2024.06.12

心不全は、臨床的な定義ではstageA~Dまで四つに分類されます。Aは症状はないがリスクを持つグループ、BはBNPかトロポニンが高いグループと定義されます。平均66歳年齢の一般住民コホートスタディでは男女ともに健康な心臓は2割しかいないことが分かりました。症状ある人はさすがにほとんどいませんが、8割以上がstageA,Bに属しています。リスクを持っている人はstageAなのでそれはそうなのかもしれませんが、stageBは上記一般人の4割から5割ほどに当たります。stageA,Bの8割は高血圧であり、6割は脂質異常症です。3割は慢性腎臓病です。実際に高血圧の半分は長い経過でいつかいつか顕性の心不全になります。

それでは高血圧の治療はどうなったのでしょうか。かつてスタンダードだった血圧目標130は、今では120未満になりました。様々な臨床観察研究を総合して、年齢に拠らず血圧は120台未満にすることの重要性が確認されました。厳格な管理によってAからBに移行する割合は40%減少し、BからCへの移行は60%減少することが分かりました。厳格な管理と、従来の管理との間には大きな違いがあったのです。医療側はその意識をもって、いい薬(ARNIなど)を使うべきだという勉強をしました。

心不全は、ほとんどは高血圧から発症します。初めの一歩をしっかり押さえれば世の中は変わります。人間の限界寿命は変わりませんが、高齢者の人口割合は増えています。かつてのやりかたで血圧管理されていた世代はかなりの割合でいづれ顕性心不全になります。

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