あめのもり内科

06-6872-0221

特徴

ブログ

blog

2024.07.28

肺機能検査で肺活量という言葉がありますが、その心は筋力や体力を表す数値です。肺活量とは吸う力のことでもあるので、横隔膜に依存するからです。努力性肺活量は病気がなければ肺活量と同じになるはずです。一秒量は吐く力なので純粋に入気管支の能力を表しています。肺活量一秒量一秒率が肺機能検査で大事な指標となります。

COPDの診断には一秒率が0.7を下回るのがゴールデンスタンダードですが検査は不人気です。いパン住民検査では肺機能検査を一次予防検査として認めていません。努力が必要な検査は安全性が担保されていないからです。一秒率FEV1%は一秒量/努力性肺活量=FEV1/FVCということなので、気流閉塞の有無を見ている検査です。一秒量が同じでも努力性肺活量の大きさで値が違ってくるので、一秒率の大小を比べるのは意味がありません。定量検査ではなく定性検査という意味が強く、COPDの判定は0.7を割るかどうかで決めるのです。一方で%FEV1は一秒量/一秒量予測値=FEV1/FEV1predicted=%1秒量体予測値であり、気流閉塞の程度を表します。気流閉塞の重症度はこの値で表すことになります。COPDを呼吸機能検査で診断する場合は一秒率が0.7未満であることが大前提であり、重賞度は%FEV1ではかるということになります。

全身麻酔を必要とする手術ではCOPDが重症になるほど麻酔の合併症が増えて死亡率も上がります。術後に肺炎になったり無気肺が起こったりしやすくなるからです。

ミクロのレベルで肺組織には何が起こっているのでしょう。COPDの肺は肺胞の数そのものが減ってしまいます。かつ気道の壁は慢性炎症で厚くなります。肺は化過膨張のために横隔膜が十分縮めない、気管支の周りの肺胞が少ないために気管支の支持組織が少ないく、肺が縮んだときに気管支が広がれない、などのために呼気が難しくなります。呼気にも力が必要なためエネルギーが必要でやせてしまいます。労作時には十分に呼気ができないために肺が膨張し換気量が確保できなくなります。労作時に機能的残気量が増えてゆき、運動するとすぐに息切れがして休まなければならなくなるということです。

治療は肺機能をよくするだけでなく運動耐用能を上げることにあります。動かないと生物としての機能が全て落ちるからです。気管支を広げるにはβ作動薬を使えばよいのですが、実際にはCOPDはβ受容体が減ってしまっています。すなわちCOPDでは副交感神経系の活性化による気道収縮があるということになります。気管支拡張には、喘息と違って抗コリン作動薬の投与も必要になるということです。なるほど、実際の臨床の場でもβ刺激薬だけでなく抗コリン薬の投与を早くから使うべきです。

喘息の併発がある場合に、どうやって喘息の有無を診断するのでしょうか。その根幹はあくまでも症状です。変動性あるいは発作性の呼吸器症状があるかどうかを確認し、呼気中一酸化窒素高値、末梢血中IgE高値があるか、末梢血好酸球増多があるかどうか、通年性アレルギー性鼻炎の合併があるか、FEV1>12%かつ200mlの変化があるかなどを診断補助とします。ぜんそくが疑われれば吸入ステロイドを追加します。

COPDには高血圧・骨粗しょう症・糖尿病・GERDに潜んでいることが多く、呼吸器だけの病気だけではありません。

close

新型コロナウイルス対策

06-6872-0221