最近の日本のトピックではついに認知症の推定人数が減ってきました。現在は500万人、従来は600万であり明らかに減ってきているようです。一方で軽度認知障害(MCI)は550万人で、両方を合わせると1000万人を超えます。
65歳以上の者がいる世帯は変化してきており、独居が増えています。夫婦だけで暮らしている人を含め65歳以上の高齢者家庭は脆弱になってきています。コロナの流行時には孤独感が高齢者の心孤独感が問題となり、生存に大きな影響を及ぼしていることが明らかになりました。孤独感や疎外感は一説にはタバコやアルコールよりも生命に関係しています。今では孤独な老人を見守るデバイスが開発されており、一例に布団の下に敷くシートがあります。睡眠時間や寝返り、体温などの情報を感知するセンサーが仕込まれており、WiFi経由で見守りモニターにそれらの情報が送れます。
アルツハイマー型認知症は、脳細胞にアミロイド蛋白が蓄積されて起こるのですが、抗体薬の出現によって従来よりも早期に診断治療をする時代になってきました。抗体薬もいくつか種類があり、今後は認知症の段階によって薬を使い分けを行うようになってきます。この治療により自立した生活期間が延長できるようになると思われます。一方で診断と治療がうまくいってもよくなることはなく、ゆっくりと症状は進行するので、今後はこれまでとは違う新たな医療連携のうえで患者の生活を支える時代になるでしょう。家族への支援も必要になり、希望を失わないようにする、専門の医療機関での治療の後に地域の医療機関で継続治療をするようになる、などということです。
さて、アルツハイマー型認知症はアミロイドベータが蓄積し始めて軽度認知障害を経て発症するのですが、プレクリニカル期とMCI期を含めると20年もの時間があります。よく観察をするとプレクリニカル期からすでに何らかの妄想や気分障害などの精神症状が出ており、これらの変化で超早期からアルツハイマー型認知症を見つけることができるかもしれません。レビー小体型認知症も然りで、パーキンソン症状やレム睡眠期の異常にうまく気づけば今後の治療が変わる可能性があります。その他、髄液や血液その他のマーカーの発見とその利用のしかたも研究開発されてきています。