多くの原核生物のゲノムにCRISPR遺伝子という免疫防御システムを持っています。
細菌などの原核生物にウイルスが感染したときに、細菌はウイルスの持つ特定のDNAをバラバラにして一部をCRISPR遺伝子に取り込みます。感染したウイルスのDNAはこのようにしてCRSPR遺伝子の中にコレクションされてゆきます。過去に感染したことのあるウイルスがバクテリア内に侵入したときに、バクテリアのCRSPR遺伝子のコレクションから逆転写されたRNAと、侵入したウイルスDNAに相補性があれば、そのRNAにガイドされたCas蛋白がウイルスのDNAをバラバラに切ってしまいやっつけます。極めて簡単に要約すると。こういうことで真核生物はファージやプラスミドの感染に対抗しています。
今はやりのゲノム編集は、ガイドRNAを人工的に作り、その人工RNAにCas蛋白をくっつけたCRISPR/Casを使うことによって人口RNAと相補的なDNAを切断します。Casには3~13までありますがCas9がDNAを切断するタイプです。別の種類のCasは切断ではなく、それぞれ別の作用を有します。
さて、DNAを切断すればDNAのフレームシフトが起こりその遺伝子をknock outすることができます。CRISPR/Cas9とともにドナーDNAをいれれば、切断した箇所に新しくDNAをノックインできます。これが遺伝子編集の効率的な方法というわけです。従来の方法に比べ、このCRISPR/Cas9を使う方法は、より正確に任意の部位を編集できます。従来のプラスミドやウイルスベクターを使う方法では、注入したベクターの遺伝子が働き続けてオフターゲットのリスクが高まります。また、タンパク質への転写・翻訳・発現にかかるプロセスがあるため時間とコストもかかり、技術的にも難易度は高いそうです。もちろん場合によっては従来法のほうがうまくいく場合もありますが、今はCRSPR/Cas9を使う方法が主流となり、様々な理由から遺伝子編集の技術が爆発的に進みました。さらに、このCRSPR/Cas9システムを細胞内に注入する方法も進歩しています。
さて、ここまでをざっくりとわかれば、遺伝子編集による今後の創薬や遺伝病治療を理解する基礎ができます。
という勉強をしてきました。
blogゲノム編集の勉強
2019.04.29