年齢の高い人ほど心房細動の割合が増えることが分かっています。心房細動では、心臓内に血栓ができやすく、何かの拍子に体循環にその血栓が乗ってゆくことが問題になります。脳の血管に詰まれば大問題です。これを防ぐために心房細動には抗凝固薬が必要となります。
一方、年齢が高くなれば、心臓を養っている冠動脈に血栓症ができやすくなってきます。血栓ができて完全に動脈が詰まれば心筋梗塞になります。心筋梗塞に至るまでの病態が狭心症ですが、狭心症が心筋梗塞に発展しないために、冠動脈内血栓症のできやすい部位にステントという網状に編んだ管を置いてくることがよく行われます。実際には、手首や股の付け根の動脈から、カテーテルという管を冠動脈まで差し込んで遠隔操作でステントを留置してくるわけです。ステントを留置すると、ステントという異物に反応して血小板がステントを塞栓してしまうので、ステント留置後には抗血小板薬を投与します。
高齢者で心房細動があって冠動脈内ステント留置をした例には理論的には抗血小板薬と抗凝固薬が必要となりますが、それぞれ個別の病態に必要とされる抗血栓薬を十分使ってもよいのでしょうか。血栓予防に十分な薬を使えば、出血リスクも高まるのではないか。その通りなのですが、そうならば血栓症と出血症のバランスが一番とれる治療法はどこにあるのか。などについて勉強しました。
blog心房細動と脳梗塞予防の勉強
2020.08.08