あめのもり内科

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2023.06.28

主な死因は1/3が癌によるもので、老衰によるものも10%になっています。部位別では男女ともに消化器癌が全癌死亡の半分を占めます。その中でも膵癌は難治性で5年生存率は10%にははるかに及びません。かつ、膵癌の患者数は増加してきています。早期診断が難しいのが理由の一つです。したがって、いかにして膵癌になりそうな患者を見つけてくるかが大切になります。膵癌の10%は遺伝性で、ほかにもリンチ症候群、遺伝性乳がん卵巣癌症候群、家族性ポリポージスなどがが膵癌になりやすいことが知られています。糖尿病発症がすい臓がんによるものだということがあります。これらの方をサーベイランスし、超音波内視鏡やMRIを年に2度ほど行えばすい臓がんは早期で見付ることができ、見つけられれば5年生存率は60%以上に伸びます。

超音波内視鏡やMRIを使っても異常が見つかっても、それが膵神経内分泌腫瘍か膵癌かの区別は困難なことが多く、症例によっては内視鏡を用いた生検で診断をつけることができるようになりました。

非切除膵癌に対する化学療法は進歩していますが、これだけでは治癒は望めません。一方、手術に関してはstage0以外は、リンパ節を拡大郭清しても予後には関係ありません。一方で手術前に化学療法を行えば10年生存率が2割ほどになってきています。

膵癌の中でも、上皮内癌または直径10mmという早期で発見すれば完治が望めます。早期癌では症状がないため、検診などの画像診断で偶然発見されることが多く、その場合は膵管の拡張で膵癌の存在が疑われます。いろいろな検査をしても膵管の拡張以外に所見のない場合は、ENBDチューブをしばらく留置し、日を置いて膵液の細胞診を行います。上皮内癌の確定診断は、かく方法によるしかないと思います。すい臓に異常が疑われる場合は、半年に一度は何かしらの画像検査が必要です。

膵癌ゲノムを標的とする分子標的薬は、保険適応や治験段階のものまでも含めて、すべて集計しても今のところ効果は非常に限られています。期待できるものは今のところありません。これからの分野です。

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