通常は水に溶けるたんぱく質が、加齢や遺伝や腫瘍、炎症などをきっかけとして繊維状の重合体を形成して体の様々な臓器に沈着する病気です。水に不溶となった重合体をアミロイドといい、アミロイドを形成する前駆タンパク質には共通の構造やアミノ酸配列はありません。ところが様々なタンパク質から形成されたアミロイド繊維は形態学的に似た構造になり、病理組織学的にも似ています。このアミロイドが前身の臓器にたまってゆく全身性アミロイドーシスとある臓器に限局性にたまってゆく現況性アミロイドーシスが分類されます。
いったん形成されたアミロイド繊維は周りの正常なタンパク質を引き込みアミロイド化させてしまいます。また何かの原因で分裂したアミロイド繊維は体のあちこちに散らばってそこでさらに正常タンパク質をアミロイド化してしまいます。診断には、ある病態が出現したときに他の原因で説明がつかなければアミロイドーシスと疑うことが大切です。アミロイドがどこに沈着するかで様々な症状が出現し、アミロイドーシスに特徴的な病態はないからです。
アミロイドを形成する前駆蛋白の安定性を増してアミロイド繊維への変異を抑制する治療法ができたり、変化しやすい前駆蛋白の合成を遺伝子レベルで抑えたり、アミロイドそのものを除去する抗体療法が開発されたり、アミロイドーシスの診断としてのシンチグラフィーが発達したりしているのでアミロイドーシスの発見率が上がりかつてほどの気象疾患ではないことが分かってきています。高齢者の心不全や心房細動なども、その原因として限局性アミロイドーシスがあるといわれてきています。高齢者の特に男性で両側の手根管症候群や腰部脊柱管狭窄症を発生し、10年~15年の経過で心不全医に至る症例には要注意です。アントニオ猪木は非遺伝性のアミロイドーシスでした。遺伝性のものもあり下肢末梢優位の感覚障害などが初発になることが多いとのことです。
薬物治療、分子標的薬によるアミロイド除去、そもそもの前駆タンパク質合成を起こさないための遺伝子治療、それぞれの治療法に必要な治療薬の生体内細胞デリバリー法の開発改善が発達してきています。